デンマーク Egmont højskolen ①

2016年2月、デンマークに旅に出た。 首都コペンハーゲンから長距離列車DSBで2時間+バスで1時間ほど北にあるEgmont højskolen(エグモントホイスコーレ)に短期訪問するために。 なぜ訪問したか。 障害者と社会・健常者をアートで繋ぎたい。 2年ほど前、芸術が人間開発のキーワードになることを確信して以降、社会における芸術の役割、クリエイティブ的な手法で障害者アーティストが社会に認められる可能性、アートマネジメントについて考えています。 知人に福祉先進国デンマークに面白い取り組みをしている学校があると聞いて飛びついて訪問しました。 思いついてからアクションまでは驚くほど早く、スムーズに先方の教員の方とのアテンド交渉ができ、非常に助かりました。 さて障害者や福祉分野に限った話ではないのですが、様々なフィールドで生じる社会的課題は、現場や内部で解決するには限界が来ていることは常々感じていました。 複雑な社会構造や革新的取り組みへの躊躇などが絡み合う中で、すでに多方面から様々なアプローチで問題解決に取り組む傾向は増えてきていて、その取り組みの先にある明るい可能性に私も便乗し、自分なりの表現の実現をしたいと考えています。 前置きが長くなりましたが・・ エグモントについて簡単に紹介すると、ここは障害者と健常者が共に生活し学ぶいわゆるインクルーシブ教育学校。 かつ、ノーマライゼーションがしっかりと機能している環境です。(ノーマライゼーション=誰もが普通の生活を送る事、平等な人権を持つ事を提唱した思考) 18歳以上の男女が寝食を共にし、スポーツ、カルチャー、芸術、文学などの80近いカリキュラムを選択し習得する。 特に珍しいのは健常者の学生は障害者の介助をすることで学費の免除を受けることができるというデンマーク特有の制度が導入されている点。 日本人クラスもあり、数名在籍している。 (学校についての詳細→http://www.folkehojskole.jp/skoler/egmont-d.html  HP:http://egmont.jp/) 実際に数カリキュラムの授業体験をさせてもらいながら肌でヒトとヒトの関わり方を感じ、デンマークでの毎日、毎時間は新鮮で頭と心に溢れんばかりのインプットがされたように感じました。 それらの新しい価値観や発見を自分なりに咀嚼して記憶の新しい内にアウトプットできる場、書き留める場が欲しかったのでここに設けました。 授業の所感としては、とにかく終始丁々発止の小気味好さで生徒が主体で非常に活気があります。 様々な障害を持ちながらも、自分のペースで授業に参加し、できないことがあれば誰かがどうにかしてフォローする。 それは先生が特別指示するではなく、近くに座っている生徒や気がついた生徒がごく当たり前にフォローについていた。 その行為について「特別」「偉い」「優しい」「頑張ってる」という美談的価値観があるわけでなく、例えば、「街で前を歩いている人がハンカチを落としたらか拾ってあげた」とか、「授業で使う教科書を忘れたから見せてもらった」とか日常に転がっているちょっとした行為。そんな当たり前の感覚に近いかもしれない。 数カリキュラムの様子を覗くと概ねの雰囲気は掴めました。 正直、面白そうな授業もたくさんあったけれど、授業を受けることが目的ではなかったので俯瞰して学校と生徒同士のコミュニケーション、ないしは先生と生徒のコミュニケーションがどのように形成されているのかを見学しました。 健常者の学びの場に障害者が、障害者の学びの場に健常者が空間を共有し、物心共に障害者と社会や健常者の生活が密接であることを感じました。 障害者と社会・健常者との結びつき、つまりコミュニティなどソフト面において、デンマークは日本をはるかに凌駕していると言えます。 このような空間が成立されるポイントについて自分の考えとデンマークと日本のバックグラウンドを踏まえて綴っていこうと思います。      

  

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